木造住宅で培ったノウハウを大規模木造で活かすことにより「早く、安い」建築が実現できます。
高品質で低コスト、短工期が求められる店舗、事務所、倉庫等の中大規模建築に木造は最適な工法です。
木造は減価償却期間が鉄骨造より短く設定(鉄骨造34年、木造22年)されており、建物を所有する事業者にとっては、年間の経費をより多く計上することができ、節税効果を得ることも可能です。
店舗、事務所、倉庫ではライフサイクルコストが特に重要であり、計画から解体工事までをトータルで考える必要があります。減価償却期間の短さや解体時のコスト等を考慮した結果、鉄骨造より木造のほうがコストダウンができるということで、木造が選択される場合もあります。
一方で、耐用年数はあくまで税法上で定められた年数でもあり、現代の木造建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用することも可能です。
別の視点としては、持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。
近年、企業経営のトレンドとして「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。
民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、今後この二つの流れにそうものとして評価されていくことが予想されます。木造化・木質化には、地球温暖化防止と持続可能な森林経営の下支えという二重の意味を持ちます。
SDGsやESG投資などは経営面からも木材利用は注目されていますし、その建築物を利用する人の健康面や精神面にもプラスの影響が期待できます。
木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の構造より建設コストが安く、事業者もしくはテナント契約者の双方にコストメリットが働く可能性もあります。
木造で使用する一般流通材の木材、建材は、戸建住宅市場で大量に流通しているため、相場の変動が少なく、価格が安定していることが特徴です。木造と鉄骨造で使用する建材を部材ごとに比較しても、規格寸法があるアルミサッシなど、ほとんどの建材が木造のほうが安くなります。
基礎の断面寸法が鉄骨造と比較してとても小さいことから、基礎工事の材料費、施工費、残土処分費なども大幅に軽減できます。建物重量がとても軽くなることから、地盤改良コストも抑えることができます。
設計に関しては、木造のモジュールを意識した設計とすることで、材料の歩留まりがよくなり、施工手間が軽減されることで、結果として建設コストが安くなります。
将来的な改修の可能性を考慮すると、空間の可変性が高い建築を木造で実現していく必要があります。
より長いスパンで考えると、建物の解体が比較的容易であり、解体工事費が安いことも木造の長所といえます。
一般に、木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ軽量となるため、解体工事にあっても木造躯体に関わる部分、特に基礎部分にあっては他構造よりも建築面積当たりの解体費用は低くなります。
木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して、工期の短縮が図れることも利点です。木造の場合、プレカットされた規格部材を現場で組み上げる施工なので、スムーズな作業・進行に貢献し、短期間での完成を実現できます。
構造躯体の施工で比較すると、鉄筋コンクリート造は、配筋→型枠→打設→養生の期間(これを打設回数分繰り返す)が必要になります。
鉄骨造は建て方自体には問題はありませんが、工事契約後に施工会社が決定してからの鉄骨発注となることが工期に与える影響はとても大きく、鉄骨特有の事前の納まり検討や施工図作成にも十分な時間が必要になります。
木造で使用する一般流通材の木材、建材は、戸建住宅市場で大量に流通しているため、納期があまりかからないことが特徴です。構造材に部分的に特注材がある場合でも、早めに発注することで工期に大きく影響することはありません。
大規模木造の施設の施工においては、そうした住宅向けの流通の仕組みをうまく活用することで、鉄筋コンクリート造、鉄骨造と比較して大幅に納期の短縮が可能になります。
施工に関しては、木造は鉄骨造ほど建設職人を手配することは困難ではありません。
建物規模や工期に応じて大工さんや職人さんを手配することが可能となり、鉄骨造と比較して工期を短縮できます。
店舗、事務所、倉庫を木造で計画する際には、建設地や規模、建築基準法により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。
木造の耐火建築物では、木造の構造体に耐火の被覆が必要となります。木造の耐火建築物を現実的に計画し、デザインとコストを両立させるには、「構造躯体の木(柱や梁)を見せること」にこだわらない設計が重要となります。
木造は準耐火建築物であれば、建築基準法改正による優遇や、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスが向上するなどのメリットが大きくなります。
当事務所では
・日本木造住宅産業協会の「木造軸組み工法による耐火構造設計者」
・日本ツーバイフォー建築協会の「枠組工法耐火設計者」
の資格を取得していますので、大臣認定の耐火構造の設計が可能です。
都市部を中心に大規模木造の需要が増えています。木造は都市建築の選択肢の一つとなっています。その際に鍵となるのが「大規模木造での耐火建築物」の実現です。耐火建築物は、建築基準法上、最高水準の防火性能を有する建築物です。たとえ消火活動が実施されなかったとしても、想定される火災で建物が燃えた後も崩壊せず、自立し続ける性能をもつのが耐火建築物です。
建設業の抱える大きな問題として、人手不足や高齢化、鋼材の高騰などがあります。
状況はかなり深刻で、鉄骨造や鉄筋コンクリート造においてはコストや工期を明確に示すことが難しい状態です。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる事務所、倉庫、店舗等を、今までのように鉄骨造で設計・施工することが困難です。そこで有効な工法が「システム化された木造」です。
木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術により、中大規模木造で「早く、安い」建築が実現できます。
木造は建築費が安い。
RC造はプレミアム感があり、遮音性が高い。
しかし、鉄骨はRC造や木造と比較して明確なメリットがそれ程見当たりません。勿論高層であればメリットは出てきますが4階建て程度の中層建築物であればRC造ほどプレミアム感を持ってもらえない割に建築費がかかります。にもかかわらず耐震性や断熱性などの建物性能は木造とそれほど変わりません。
「木と鉄では鉄の方が強いに決まっている」と思うかもしれません。たしかに同じ太さ・長さの柱を比べたら鉄の方が強度はあるでしょう。
しかし、建物の耐震性は全体のバランスで決まります。木には素材自体が軽いというメリットがありますし、構造計算によって適正に設計して耐震等級2又は耐震等級3の建物であれば、木造も鉄骨も耐震性能に差は生じないのです。
また、断熱性に関しては断熱材の質・量によって決まるものなので、構造材の違いはあまり関係ありません。ただし、遮音性に関しては、隙間なく鉄筋コンクリートで囲まれているRC造が有利です。
これらの建物性能は、建築基準法などの法令によって一定以上のレベルにするよう定められており、その基準は構造によって区別されているわけではないのです。
それなのに鉄骨が木造よりも家賃を高めに設定されるのはなぜか。
それは建築費が高いから。
つまり「木造と同等にはしたくない!」というオーナーの気持ちが家賃に乗っているだけなのです。 木造と鉄骨を同条件で比べたら、入居者は鉄骨を選ぶ傾向はあるでしょう。
しかしそのような人は、どうせ高い家賃を払うなら、とRC造に流れていきます。
鉄骨は中途半端なのです。
RC造や鉄骨造は世間一般では耐火建築物として認められてきましたが、木造は木である以上燃えやすく耐火建築物としては考えにくいというものが一般的な考え方です。
ですが広く知られていませんが、木造にも耐火構造の認定というものがあり、RC造や鉄骨造と同様に1時間耐火構造というものが可能になりました。
木造はRC造や鉄骨造と比べて建物重量を軽くすることができるため、耐震性も利点が多く、地盤に関してもRC造や鉄骨造の様な大幅な地盤補強を必要としませんので、土地としての資産価値を下げにくくすることも可能です。
当然大掛かりな杭打ちの数十年後にはその杭を引き抜く費用も発生し、RC造や鉄骨造では建物の解体費用も莫大なものになります。
つまり木造は建築費が安いので金融機関に借りるお金も少なくて済み、減価償却期間を短く設定することができます。
建物は建てて終わりではなくライフサイクルコストというもので考えれば木造はRC造や鉄骨造に比べて大幅な金額差が出てきます。
敷地が軟弱地盤だった場合、地盤改良工事を行う必要があります。
中大規模木造は、建物重量が鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して大幅に軽いことから、求められる地耐力が小さくなるため地盤改良工事をコストダウンすることができます。
地盤改良が必要になった場合、中大規模木造においては主に下記のいずれかの地盤改良工事を行うことになります。
いずれの方法も、鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して大幅にコストダウンが可能です。
表層改良
軟弱地盤の層が地表から2m未満など浅い場合には、セメント系固化材を土壌に混ぜて地盤を固めます。
柱状改良
表層改良ができない敷地や軟弱地盤が地表から2~8m程度の場合は、良好な地盤の層までコンクリート杭を設け、基礎と連結させます。
鋼管杭改良
支持層までの距離が長い場合や、地盤の硬さが敷地内で不均一な場合には、鋼製の杭を良好な地盤まで打ち込み、基礎を支えます。
建物重量が軽いため、木造は大幅にコストダウン可能
鉄骨造の場合
耐震力 | 8~10t/㎡(2階建) |
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改良方法 | 鋼管杭、RC杭 |
木造の場合
耐震力 | 2t/㎡(2階建) |
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改良方法 | 柱状改良、木杭等 |
中大規模木造は、建物重量が鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して大幅に軽いことから、基礎断面を小さくすることができます。
中大規模木造の基礎においては、ベタ基礎を採用するケースが増えています。
ベタ基礎は建物の真下全体がコンクリートの耐圧板で覆われます。そのため、建物の荷重を底面全体で受け止めることができ、負荷が分散して安定性に優れ、不同沈下を起こしづらいという利点があります。
木造建築のベタ基礎においては、建物外周の基礎を立ち上げる部分の地盤を掘る根切りを行い、砕石を敷き込んで固めます。この後に捨てコンクリートを打ち、平に仕上げて、そこに外周部型枠や鉄筋を組む位置を示す墨出しを行います。外周部に型枠を建て込んでから、配筋工事を行います。
木造の基礎断面が小さいということは、鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して、主に下記の理由によりコストダウンが可能になります。
基礎断面が小さいため、木造はコストダウン可能
RC造・鉄骨造の場合
重量 | 重い →基礎断面が大きくなる |
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配筋、 コンクリート量 |
多い →コストが高くなる |
木造の場合
重量 | 軽い →基礎断面は小さい |
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配筋、 コンクリート量 |
少ない →コストは安くなる |
中大規模木造の構造躯体の施工は、鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して、木造で使用する一般流通材の木材、建材が戸建住宅市場で大量に流通しているため、相場の変動が少なく、価格が安定していることが特徴です。
中大規模木造の構造躯体の施工においては、大工さん、鳶さんとなり、複数の職方が必要でないケースが多いです。
鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造では、躯体の施工に複数の職方が必要になります。そうした職人さんは、大型建築の現場で仕事をすることも多く、需要バランスによる施工費(労務費)も変動が大きいです。
貴重な建設職人をそれぞれの現場で「奪い合う」図式となるため、必然的に人件費は高くなる傾向になります。
木造の構造躯体工事には、鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して、主に下記の理由によりコストダウンが可能になります。
一般流通材の活用で木造はコストダウン可能
鉄骨造の場合
価格 | 変動が大きい →コストコントロールが難しい |
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工期 | 長い →施工図検討等に時間が必要 |
木造の場合
価格 | 変動が小さい →コストコントロールがしやすい |
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工期 | 短い →臨機応変な対応もしやすい |
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